
後ろを振り返ってみた。
知らないうちになんだか遠くまで歩いてきていたようだ。
曲がりくねった道を歩いて来たと思っていた。
そうではなかった。
遠くまで来てみると意外と真っ直ぐであった。
幾度となく訪れた不安や緊張の日々が今では懐かしい。
そして寂しい。
自分の無力さを感じたあの日々が恋しい。
苦しい日々の中で成長を感じていた。
平坦な道を歩いていると心は穏やかだ。
僕は遠くまで来ることができた。
自分のこの足と、意思と、支えてくれた人たちのおかげだ。
ただ、後ろを振り返ってみるとなぜか寂しいのだ。
僕の前にはまだ不安と緊張の日々があるはずだ。
僕の前にはこれからも険しい道が待ち構えているはずだ。
前を向くのだ。
道が見えないからこそ目を凝らして先を見るのだ。